自然と動物を愛し、うそを嫌った絵本作家
アーノルド・ローベルは、自然と生き物を愛し、絵本の世界に「うそ」を持ち込みたくなかった絵本作家です。
1962年から創作をはじめ、1988年(54歳)で亡くなるまでに、全34作(挿絵担当を含めると全107作)の絵本を世に送り出しました。
ここでは、そんなアーノルド・ローベルの絵本をほとんど読んだ僕が、おすすめ絵本5選を紹介します。
アーノルド・ローベルのおすすめ絵本5選!
1.『やどなしねずみのマーサ』1966年
映画とポップコーンが好きなネズミのお話。
ドラマのようなストーリーは、絵本なのにとても読み応えのある内容です。
アーノルド・ローベルには二人の子どもがいて、彼らが車内でケンカを始めたときに、「お話を聞きたいかい?」と言って即興で作られた作品だと言います。
ストーリーがしっかりしている絵本を探している方におすすめの一冊です。
2.『いろいろへんないろのはじまり』1968年
この絵本は、色がなかった時代の「はいいろのとき」が舞台です。
絵本にも色がなく、デッサンのような絵から物語が始まります。
それからある魔法使いが「いろ」を発明して、少しずつ色が増えていきます。
その過程が面白く、絵本特有の表現で読み手を楽しませてくれる一冊です。
アーノルド・ノーベルは絵の具が少なかった時代の絵描きなので、基本的にくすんだ色をよく使います。
しかし、この絵本では原色を使っており、ローベルの中でも珍しく鮮やかな作品です。
3.『ふたりはともだち』1970年
言わずと知れた世界的な名作。
日本では「おてがみ」が教科書に採用されているので、ローベルといえば「ガマくんとかえるくんシリーズ」かもしれません。
実は「おてがみ」に登場するかえるくんは、「なくしたボタン」というお話で、がまくんから貰った服を着ています。
教科書だけでは分からないストーリーも見えてくるので、全4冊のシリーズを全て読むのもおすすめです。
4.『ふくろうくん』1975年
家にいることが大好きで内向的なふくろうくんが主人公の絵本。
ローベル自身が、「自分の絵本のなかで最も個人的な作品」と語った一冊です。
ローベルの子どもたちも、「ローベル本人はどのキャラクターに近いか?」というインタビューに下のように答えています。
「父さんは、かえるくんより、がまくんだね」
「間違いなく、がまくんの方が近いわね。自然が好きだったし。(中略)だけど、父さんは、絶対にふくろうくんよ!」『アーノルド・ノーベルの全仕事』ブルーシープ株式会社
個人的にも、ローベル作品の中では1、2を争うほど好きな絵本です。
5.『ぼくのおじさん』1981年
『ふくろうくん』と同じくらいおすすめしたい絵本が『ぼくのおじさん』です。
両親が災害で行方不明になってしまった子ゾウが、叔父さんのゾウに引き取られ、楽しくも切ない日々を過ごします。
ローベル自身も両親ではなく母方の祖父母に育てられていることから、ローベルの自叙伝的な作品と言われたりします。
シンプルなので子どもが読んでも面白いですが、ローベルの経験が反映されているからか、作品の雰囲気には重みがあり、なぜか惹き込まれる魅力のある作品です。
以上、アーノルド・ローベルのおすすめ絵本5選でした。
ここで紹介した作品を参考に、アーノルド・ローベルの絵本を手にとっていただけると嬉しいです。