現代日本文学

十二国記シリーズは『白銀の墟』で完結したのか?続編の有無を考察!

2022年8月19日

十二国記シリーズは『白銀の墟』で完結したのか?

0巻『魔性の子』から30年が経ち、日本ダークファンタジーの代表作として君臨し続ける十二国記シリーズ。

2019年には『白銀の墟』が刊行され、シリーズ全15巻という大作になりました。

この記事では、そんな十二国記シリーズが完結したのかを考察していきます。

作者・小野不由美さんの構想では完結

18年ぶりの新刊となった『白銀の墟』で、作者の小野不由美さんとしては一応の完結と考えているようです。

実際に、メインキャラクターの物語はきちんと区切りがついています。

  • 中嶋陽子(1.2.5.6.8巻)
  • 小松尚隆(4巻.ガイドブック短編「漂舶」)
  • 高里要(0.3.8.11.12.13.14巻)

『十二国記』シリーズは十二国の実情を描く物語ですが、蓋を開けてみれば、上記の三人のストーリーでもあります。

始まりの物語『魔性の子』の主人公である高里要。

彼が、シリーズ最大長編の『白銀の墟』で区切りをつけたように、中嶋陽子や小松尚隆の物語もひと段落ついているのです。
小助
もちろん、ほかの王や麒麟も魅力的なキャラクターが多いので、長編を読めるならこれほど嬉しいことはありません。

しかし、小野不由美さんの構想上では完結しており、最新刊『白銀の墟』も18年ぶりに刊行されたことを考えると、新作長編はあまり期待できないかもしれません。

新作短編は刊行予定!予想される内容は?

実は、2020年にオリジナル短編の刊行が決定していましたが、その発売が延期になっています。

2022年夏時点ではまだお知らせがありませんが、発売は数年以内だと考えて良いでしょう。

新刊短編で予想される内容

短編では、以下のような物語が描かれるのではないかと考えています。

  • ほとんど描かれていない舜の国の様子
  • 楽俊の故国・巧国の復興
  • 傾き始めた柳国の末路
  • 現・宗国王の登極の顛末(580年前)
  • 完全には明かされていない黄海の飛仙や妖魔の謎

予想というか、期待に近いですね笑

ただし、舜や範の国については、書かれない可能性も高いです。

本当は永遠に続く王朝は絶対にありえない。その王と麒麟が永遠にいる世界にはしたくないのです。そういう理由で、敢えて書かない国を残しておきたいという事情もあります。

小野不由美『十二国記30周年記念ガイドブック』新潮社,141

新しい短編集が出るとしても、これまでの国が背景となっている、新しい角度からの物語が多いかもしれません。

小助
個人的には、耽美的な氾王・呉藍滌や、威勢の良い供王・珠晶の物語をもっと読めると嬉しいです

ちなみに、『十二国記』30周年の公式ガイドブックでは、幻の短編『漂舶』が収録されています。

延王・小松尚隆の登極から約100年後の物語。しみじみと味わい深い短編で、シリーズを読んでいる方は必読です。

以上、『十二国記』の完結&今後の短編集についての考察でした。

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