現代日本文学

『十二国記』は面白い?全巻読んだ僕が正直にレビューします!

十二国記は面白い?

1991年に『魔性の子』が刊行されて以来、日本のダークファンタジーとして高い評価を受けてきた『十二国記』シリーズ。

小助
ここでは、シリーズ15作を全て読んだ僕が、面白かったかどうかを正直にレビューします。

まずはサッと各巻の評価をまとめました。

タイトル 評価
0巻『魔性の子』 10/10 No.1!
1巻『月の影 影の海〔上〕』 8/10
2巻『月の影 影の海〔下〕』 9/10 No.2!
3巻『風の海 迷宮の岸』 8/10
4巻『東の海神 西の滄海』 7.5/10
5巻『風の万里 黎明の空〔上〕』 7/10
6巻『風の万里 黎明の空〔下〕』 8.5/10 No.3!
7巻『図南の翼』 8.5/10 No.3!
8巻『黄昏の岸 暁の天』 8/10
9巻『華胥の幽夢「帰山」』 8/10
10巻『丕緒の鳥「丕緒の鳥」』 8/10
11巻『白銀の墟 玄の月〔一〕』 6/10
12巻『白銀の墟 玄の月〔二〕』 7/10
13巻『白銀の墟 玄の月〔三〕』 8.5/10 No.3!
14巻『白銀の墟 玄の月〔四〕』 8/10

※9巻『華胥の幽夢』と10巻『丕緒の鳥』は短編集です。その中で一番面白かった話の評価にしています。

一番面白かったのは『魔性の子』。

反対に一番読み辛かったのは『白銀の墟 玄の月〔一〕』でした。

『十二国記』はヒューマンファンタジーとして傑作

『十二国記』の面白さは、以下のような部分が特徴的です。

  • 登場人物のリアルな葛藤や内面の描写
  • ダメ人間が世の中と向き合い、大人へと成長していく過程
  • 謎の多い深淵なダークファンタジーの世界

ほかにも、キャラクターの魅力や、信頼できる仲間との出会いなども、『十二国記』を面白くしている要素でしょう。

人間の醜い部分や世界の暗い部分をしつこいくらい描きつつ、それでも小さな希望や僅かな光に手を伸ばす。

そんな世界で主人公が成長してゆく姿や、ふと触れる人間の暖かさには、大人でも心を揺さぶられるものがあります。

せめぎ合う感情を克明に描く『十二国記』は、一般的なファンタジーとは一線を画した、ヒューマンファンタジーとも言えるような作品でした。

それでは、15巻でどの作品が面白かったのか、具体的なところを次からお話ししていきます。

一番面白かったのは0巻『魔性の子』!

『十二国記』全15巻を読んで一番面白かったのは、0巻『魔性の子』です。

小助
現代日本を背景に、不穏で不気味な怪奇現象が起こっていく様子がたまりません!

どれか一冊だけおすすめするなら、間違いなく『魔性の子』を推します。

中嶋陽子篇も面白い

『十二国記』シリーズは、メインの主人公が3人います。

  • 中嶋陽子
  • 小松尚隆
  • 高里要

この3人です。

小助
アニメの主人公にもなっているのが、女子高校生の中嶋陽子。

1巻『月の影 影の海〔上〕』から登場しますが、中嶋陽子がメインになっている話はどれも面白いです。

1.2巻『月の影 影の海〔上・下〕』
5.6巻『風の万里 黎明の空〔上・下〕』
8巻『黄昏の岸 暁の天』

この3タイトルは彼女が主人公の物語。

『魔性の子』はホラー要素が強いですが、ファンタジーの面白さを求めているなら『月の影 影の海〔上・下〕』は最高です。

実際、『十二国記』といえば中嶋陽子(キャラクター投票2位)というくらい、多くのファンからも人気があります。

キャラクターの人気投票¹で1位だった楽俊も、中嶋陽子の物語で一緒に登場します。

外伝的な『図南の翼』も最高

『十二国記』シリーズはファンタジーですが、世界観の説明はほとんどありません。

国の王になる方法や、妖魔や天の存在、それぞれの国の様子などが少しずつ明かされていくことで、十二国という世界の全貌が明らかになっていきます。

シリーズを順番に読んでいけば、どんどん謎が解けていく形です。

小助
そうした意味で、7巻『図南の翼』の面白さは格別です。

主人公が先ほど挙げた3人の誰でもないので、物語自体は外伝的な立ち位置。

ですが、物語の本質的な謎に迫る過程や、何より主人公の天真爛漫なキャラクターが魅力的で、メインストーリーに劣らない華やかな物語になっています。

中嶋陽子とは違ったタイプの女主人公で、個人的にはとても好きな話でした。

好きなキャラクターの話だけ読むのもアリ

『十二国記』シリーズは全15巻あるので、はっきり言ってかなりの長編です。

アニメなどで好きなキャラクターが決まっている人は、その人物が登場する作品だけを読むのもありでしょう。

各キャラクターのメイン作品は以下の通りです。

人物名 登場巻
中嶋陽子 1.2巻『月の影 影の海〔上・下〕』
5.6巻『風の万里 黎明の空〔上・下〕』
8巻『黄昏の岸 暁の天』
10巻『丕緒の鳥「丕緒の鳥」』
小松尚隆 4巻『東の海神 西の滄海』
9巻『華胥の幽夢「青条の蘭」』
10巻『丕緒の鳥「帰山」』
ガイドブック短編『漂舶』
高里要 0巻『魔性の子』
3巻『風の海 迷宮の岸』
8巻『黄昏の岸 暁の天』
9巻『華胥の幽夢「冬栄」』
11〜14巻『白銀の墟 玄の月〔一〜四〕』

ほかの話にも脇役として登場したりしますが、メインの作品は上記です。

小助
もちろん、『十二国記』の世界を味わい尽くしたい方は全巻読むのがおすすめです!

『十二国記』はファンタジーの中でも、独特な面白さがある作品です。

特に0巻『魔性の子』や1.2巻『月の影 影の海』は面白いので、ぜひ手に取ってもらえると嬉しいです。

以上、『十二国記』の面白さレビューでした。


参考:『十二国記』30周年記念あなたが好きなキャラクター投票

あわせて読みたい
十二国記シリーズは『白銀の墟』で完結したのか?続編の有無を考察!
あわせて読みたい
『十二国記』読む順番は「魔性の子」からがおすすめ!ネタバレなしで理由を説明します