ジブリ『ゲド戦記』テナーの過去をサクッと解説!

2021年7月28日

『ゲド戦記』テナーの過去をサクッと解説!

この記事では、ジブリ版『ゲド戦記』に登場する「金髪の女性は誰か?」というところを解説していきたいと思います。

彼女の名前はテナーといい、原作を知らないとただのおばちゃんですが、実は壮絶な人生を歩んできた女性です。

・テナーはカルカド帝国生まれで大巫女という存在

ゲド戦記の舞台はアースシーという大陸で、そこにはアーキベラゴとカルカド帝国という二つの国があります。

それぞれの国は、使う言語も違えば、文化や伝統も異なります。例えばカルカド帝国は兄弟神を信仰していて、原始的な儀式や礼拝などがありますが、アーキベラゴにはそれがありません。

なかでもおおきな違いは、アーキベラゴには魔法を使える人がいるのに対して、カルカド帝国には魔法を使う文化が全く無いというところでしょう。

テナーが生まれたのはこのカルカド帝国です。彼女はその国の聖地と呼ばれる「アチュアンの墓所」というところで、もっとも位の高い大巫女という存在でした。

・大巫女ってどういう存在?

歴代の大巫女はみな「アルハ」と呼ばれており、前のアルハが死ぬと、死んだ日と同じ日に生まれた女の子を国中から探し出して、アルハの生まれ変わりを見つけます。それがテナーだったというわけです。

アルハは5歳になると神殿に連れてこられ、1年間専門的な教育を受けて大巫女となります。ほかの巫女は兄弟神に仕えるのですが、アルハだけは「名無き者」に仕えて、人の血を使った儀式=処刑などを執り行っていました。

彼女はそんな死と闇が支配するアチュアンで少女時代を過ごしていたのです。

ジブリ版『ゲド戦記』では、終盤でテナーが地下牢に閉じ込められたとき、アチュアンの墓所を一瞬だけ回想するシーンがあります。あれは、地下牢と同じように暗かったアチュアンの墓所を思い出しているという場面になりますが、原作を知らなければ、ほとんど理解できないシーンでしょう。

・テナーとゲドの出会い

そんなアチュアンの墓所に、あるものを探して侵入して来たのが主人公のゲドです。ここでゲドとテナーは初めて出会います。ゲドもまだ若く、テナーは15.6歳くらいのときです。

墓所の大巫女であるテナーは、異国の地からやってきた魔法使いのゲドを、神聖な墓所・アチュアンから排除しなければいけません。

しかし彼女は、ゲドに敵愾心を燃やしながらも、次第に異国の文化やゲド自身に興味を抱いていくようになります。このあたりのストーリーは、全六巻からなる『ゲド戦記』のなかでも特に面白いと思います。

・近所のおばさん達がコソコソと話をしている理由

さて、このようなテナーの過去が分かったことで、ジブリ「ゲド戦記」のもやもやポイントが一つ解消されます。それは、近所のおばさん達がコソコソと話をしている理由です。

彼女たちが意地悪げにコソコソと話しているのは、テナーがカルカド帝国から来た、よく分からない人間だからなんですね。

テナーとアーキベラゴの人々を分けるために、映画ではきちんと肌の色が分かれています。アーキベラゴ人は肌が浅黒く、カルカド人であるテナーは肌が白く描かれているんですね。この肌の色の設定は原作でも同じです。

テナーがこそこそと話をされる理由はもうひとつあります。それはテルーの存在です。

・テナーはテルーの本当の母親ではない

テナーはよくテルーの母親だと勘違いされますが、テルーを拾って育てているだけで、血のつながりはありません。

テルーは幼い頃、親からひどい虐待を受けて、重度のやけどを負います。そんな親が捨てていったテルーを、テナーが拾って育てているというわけです。

近所のおばさんたちは、異国のよそ者と親に捨てられた醜い子どもが二人で暮らしているということで、排他的な感じの悪い態度で接しているんですね。ただし、テナーがコミュニティに馴染んでいないのはジブリ版だけの設定で、原作では村の人々と上手く溶け込んで生活しています。

以上、ゲド戦記に出てくる「金髪の女性」テナーについてお話ししてきました。

ジブリ版では描かれていない彼女の少女時代は、原作の第二巻で、大人になってからの話は四巻と五巻で描かれています。特に第五巻では、ジブリ版のストーリーのその後が描かれているので、興味のある方は原作もぜひ読んでみてください。

アーシュラ・K.ル=グウィン (著)/ 清水 真砂子 (訳)