日本十進分類法の覚え方
日本十進分類法(NDC)は、日本の図書館で多く採用されている図書の分類法です。
日本十進分類一覧
- 0類:総記
- 1類:哲学
- 2類:歴史
- 3類:社会科学
- 4類:自然科学
- 5類:技術
- 6類:産業
- 7類:芸術
- 8類:言語
- 9類:文学
まずは大枠として、上記の10綱目があります。
それぞれをさらに10区分(第2次区分)し、それをさらに10区分(第3次区分)することで、
- 10×10×10=1000区分
の分類で図書を仕分けているのです。これが日本十進分類法。
ここでは、そんな日本十進分類法の簡単な覚え方を紹介します。
0類~9類の覚え方
まずは、0類~9類を覚えましょう。
ポイント:逆さに覚えよう
おすすめなのは、子どもの成長に当てはめながら、9類→0類に向かって逆さに覚える方法です。
子どもの成長
- 絵本を読む(9類:文学)
- 言葉を覚える(8類:言語)
- クレヨンで殴り書きする(7類:芸術)
- 欲しいものが出てくる(6類:産業)
- 泥団子を作る(5類:技術)
- 雲や虹を不思議に思う(4類:自然科学)
- 世の中に関心を持ち始める(3類:社会科学)
- 小学校で過去を学ぶ(2類:歴史)
- 対人関係や人生のことを考える(1類:哲学)
覚えにくいのは4類.5類.6類なので、そこだけ押さえると簡単に覚えられます。
・分野のことを理解しよう
10の大区分を文字だけで覚えても、その分野にどのような本がまとめられているのかをきちんと理解しておかなければ、実践では役に立ちません。
たとえば、「経済」の本は何類ですか?と聞かれても、文字だけを覚えていたら答えられませんよね。
僕も日本十進分類法を覚えるときに、悩んだポイントでもあります。
そんな悩みを解決するため、ここでは各分野の本が一覧で見られるオンライン図書館を作りました。
図書館司書の実習に行く方などは予習にもなります。必見です▽
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100綱目の全体像を掴もう
0類~9類の第一次区分を覚えたらひとまずはオーケー。
ですが、分類をきちんと覚えたい人は、次の第二次区分に手を付けましょう。
とはいえ、100区分も覚えるのは大変ですよね。
全体の流れとしてはこんな感じです。
NDCの全体が分かる17綱目
- 000:総記
- 010:図書館
- 100~150:哲学
- 160~190:宗教
- 200~270:歴史
- 280:伝記
- 290:地理
- 300~390:社会化学全般
- 400~490:自然科学全般
- 500~580:第二次産業
- 600~660:第一次産業
- 670~690:第三次産業
- 700~770:芸術
- 780:スポーツ
- 790:娯楽
- 800~890:言語
- 900~990:文学
いきなり羅列されても分からないと思うので、0類から順に簡単な解説をしていきます。
0類:総記
0類 総記 綱目
000:総記
010:図書館.図書館情報学
020:図書.書誌学
030:百科事典.用語索引
040:一般論文集.一般講演集.雑著
050:逐次刊行物.一般年鑑
060:団体.博物館
070:ジャーナリズム.新聞
080:叢書.全集.選集
090:貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション
0類:総記は、1類~9類の主題を包括する書籍を扱う、特別な類目です。
ここで優先的に覚えたいのは、
- 000:総記
- 010:図書館
の2つ。
あとは貸し出しなどが少ない綱目なので、すぐには覚えなくてもよいです。
1類:哲学
1類には、人間の精神界に関わる本がまとめられています。
1類で覚えたいのは、
- 100:哲学
- 160:宗教
の2つ。
哲学は、「哲学論・東洋・西洋・心理学・倫理学」の5分類。
宗教は、「神道・仏教・キリスト教」の3分類があります。
なのでまとめて、1類は「哲学(100~159)」、「宗教(160~199)」の2分野と覚えましょう。
2類:歴史
2類 歴史 綱目
200:歴史.世界史.文化史
210:日本史
220:アジア史.東洋史
230:ヨーロッパ史.西洋史
240:アフリカ史
250:北アメリカ史
260:南アメリカ史
270:オセアニア史・両極地方史
280:伝記
290:地理.地誌.紀行
「2類:歴史」は、人間の歴史全般に関する本がまとめられている類目です。
ここで覚えたい綱目は3つ。
- 200:歴史
- 280:伝記
- 290:地理
各国の歴史が(200~279)に収められ、それから個人伝記(280)、地理(290)があります。
なので、「歴史、伝記、地理」の3分野が2類だと覚えましょう。
3類:社会科学
3類には、人間の社会生活に関する本がまとめられています。
すなわち、
政治・法律・経済・財政・統計・社会・教育・風俗・国防
などの社会全般が3類です。
ただし、経済と関わりの深い「産業関連」だけは5類と6類に委ねられています。
なので、特定の綱目を覚えるのではなく、産業関連を除く社会全般に関する本が3類だと覚えましょう。
4類:自然科学
4類 自然科学 綱目
4類は、自然界に起きる様々な現象に関する本がまとめられています。
なので、
- 400~480:純粋科学(数学や生物学など)
- 490:医学
の2分野が4類だと覚えましょう。
5類:技術
5類 技術 綱目
500:技術.工学
510:建築工学.土木工学
520:建築学
530:機械工学.原子力工学
540:電子工学
550:海洋工学.船舶工学.兵器..軍事工学
560:金属工学.鉱山工学
570:化学工業
580:製造工業
590:家政学.生活科学
まず理解しておきたいのは、5類と6類が「産業」に関する綱目だということです。
5類は第二次産業、6類は第一次産業&第三次産業の本がまとめられています。
第一次産業とは?
第一次産業は、自然界にある素材や原料を採取して利益を得る産業(農業・漁業など)です。
第二次産業とは?
第二次産業は、第一次産業で採取・生産した原材料を加工して利益を得る産業(建設業・製造業など)のことです。
第三次産業とは?
第三次産業は、一次産業と二次産業に含まれない産業(小売業・サービス業など)です。
5類はこのうち「第二次産業」に関する本がまとめられているので、
- 500~580:第二次産業
- 590:家政学
がまとめられていると覚えましょう。
6類:産業
6類 産業 綱目
6類は、第一次産業や第三次産業に関する本がまとめられている棚です。
ここも5類と同じく、
- 600~660:第一次産業
- 670~690:第三次産業
の2分野が6類だと覚えましょう。
7類:芸術
7類 芸術 綱目
700:芸術.美術
710:彫刻.オブジェ
720:絵画.書.書道
730:版画.印章.篆刻.印譜
740:写真.印刷
750:工芸
760:音楽.舞踏.バレエ
770:演劇.映画.大衆芸能
780:スポーツ.体育
790:諸芸.娯楽
7類は、芸術に関する本がまとめられています。
ここで覚えたい綱目は3つです。
- 700:芸術
- 780:スポーツ
- 790:娯楽
芸術全般が(700~779)に収められ、それからスポーツ(780)、娯楽(790)があります。
なので、7類は「芸術・スポーツ・娯楽」と覚えましょう。
8類:言語
8類 言語 綱目
800:言語
810:日本語
820:中国語.その他の東洋の諸言語
830:英語
840:ドイツ語.その他のゲルマン諸語
850:フランス語.プロバンス語
860:スペイン語.ポルトガル語
870:イタリア語.その他のロマンス諸語
880:ロシア語.その他のスラブ諸語
890:その他の諸言語
8類は、言語に関する本がまとめられている棚です。
ここで覚えたいのは各国の順番です。
9類の文学も同じ順番なので覚えておきましょう。
- 日本
- 中国
- 英語
- ドイツ語
- フランス語
- スペイン語
- イタリア語
- ロシア語
- その他
中国やドイツなどに付いている「その他の~」は覚えなくても構いません。
9類:文学
9類 文学 綱目
900:文学
910:日本文学
920:中国文学.その他の東洋文学
930:英米文学
940:ドイツ文学・その他のゲルマン文学
950:フランス文学.プロバンス文学
960:スペイン文学.ポルトガル文学
970:イタリア文学・その他のロマンス文学
980:ロシア・ソビエト文学.その他のスラブ文学
990:その他の諸言語文学
9類は、文学に関する本がまとめられている棚です。
8類と同じく、各国の順番を覚えておきましょう。
100綱目のつかみ方
以上、全体の流れを掴むための17綱目を見てきました。
少し混乱したと思うので、もう一度まとめておきます。
- 000:総記
- 010:図書館
- 100~150:哲学
- 160~190:宗教
- 200~270:歴史
- 280:伝記
- 290:地理
- 300~390:社会化学全般
- 400~490:自然科学全般
- 500~580:第二次産業
- 600~660:第一次産業
- 670~690:第三次産業
- 700~770:芸術
- 780:スポーツ
- 790:娯楽
- 800~890:言語
- 900~990:文学
これに「一般補助表の言語区分」を付け加えて覚えておくと完璧です。
一般補助表:言語区分
- -1:日本語
- -2:中国語
- -3:英語
- -4:ドイツ語
- -5:フランス語
- -6:スペイン語
- -7:イタリア語
- -8:ロシア語
- -9:その他の言語
例:日本語
言語(800)+日本語(言語区分:-1)=810
考え方としては上記の式になるので、言語区分を覚えると8類と9類は全て覚えられます。
一般補助表は、「言語区分」のほかに、「形式区分」や「地理区分」などがあります。
例:「日本語史」の本の分類
日本語(810)+歴史(形式区分:-02)=810.2
したがって、日本語史の本は分類記号「810.2」となります。
言語区分や形式区分について詳しく知りたい方は、以下の記事を読みましょう▽
-
日本十進分類法の補助表まとめ!
続きを見る
全体像を掴んでおこう!
0類は包括的な綱目
「0類:総記」は1類~9類までの知識を含む包括的な類目です。
知識を扱うメディア(図書・事典・新聞)を扱ったり、知識を扱うメディアをまとめる図書館(010)自体を扱います。
これらをさらに包み込むのが「知識自体の知識」なので、最も若い分類要目は「002: 知識. 学問. 学術」です。
こうしたすべての枠組みとして、「000:総記」があります。
こうした全体像を掴んでおくことも、日本十進分類法を覚えるためには大事です。
日本十進分類法はざっくり覚えよう
日本十進分類法はざっくりと覚えていれば、次第に身についてきます。
実際の本棚を見れば覚えは早くなるので、図書館に行って棚を見るのも有効です。
ここでは、図書館に行かずに見られる分類ごとの具体的な図書一覧もまとめているので、そちらも参考にしてみて下さい。
-
あらら図書館
続きを見る
以上、日本十進分類法の覚え方でした!