『ハウルの動く城』原作との違いを解説!
ジブリアニメ『ハウルの動く城』は、『魔法使いハウルと火の悪魔』という小説を元にした映画です。
ジブリ版には、原作では描かれていないポイントがいくつかあるので、ここではそんな『ハウルの動く城』と原作との違いを紹介していきます。
・原作との4つの違い
原作との違いは、大きく4つあります。
- ソフィーの家族関係
- 登場人物の設定
- ハウルのキャラクター
- 扉の先にあるもの
の4つです。それぞれ詳しく見ていきます。
1.ソフィーの家族構成
まずソフィーの家族関係ですが、ジブリ版でも原作でも少し複雑です。
ここでは簡単に家系図を用意してみました。ジブリ版の家系図はこんな感じです。
レティーという妹がひとり、母親がひとりいて、父親はいません。また、物語の途中で母親は再婚します。
一方で、原作の家系図はこちらです。
ジブリ版との違いは、マーサという妹の存在、それから、父親と母親の関係です。原作では姉妹が3人いますが、上2人と下1人で母親が違います。
ソフィーとレティーの母親が亡くなると、父親は帽子屋で働いていたファニーを妻にして、3女のマーサが生まれました。しかし、その後父親が亡くなったため、ファニーと三姉妹の4人が残されたという形です。そこへ加えて、ファニーはお金持ちのスミスと再婚したため、ソフィー達には合計4人の親がいることになります。こうしたソフィーの家族関係が、ジブリ版との違いです。
ジブリ版ではマーサの存在をほのめかす場面も
ちなみに、ジブリ『ハウルの動く城』では、冒頭で「隣町のマーサって子がハウルに心臓を食べられた」というセリフがあったり、ソフィーが「末の妹に会いに行く」と中折れ谷へ行く様子が描かれていたりと、原作の末っ子マーサを意識した場面がみられます。
マーサという存在を知らなければスルーしてしまうところですが、知っている人は、おや?と思う場面が、ジブリ版『ハウルの動く城』では散りばめられています。
・登場人物の設定
次にみていく原作との違いは、「登場人物の設定」です。ここも相関図をみながら簡単にお話ししていきます。
まずはジブリ版ですが、ハウルとソフィーたちを中心に、荒れ地の魔女やサリマンといった人物が登場し、物語を動かしていきます。
面白いのは、サリマンが敵のように描かれ、荒れ地の魔女は途中から、ハウル達の一行に加わるところ。原作では、サリマンは敵ではなく、反対に荒れ地の魔女は敵となっています。
一方、原作の登場人物はこんな感じです。
ジブリ版より登場人物はずっと多いですね。ソフィーの姉妹は物語にもしっかりと関わっていて、ハウルとの関係もあります。
また、ジブリ版では、サリマンがハウルの師匠ですが、原作ではサリマンは友人で、師匠はペンステモンというおばあちゃんです。
サリマンは荒れ地の魔女に殺されてしまったり、ハウルの甥っ子が登場したりと、ジブリ版にはないストーリーの膨らみも、原作の魅力のひとつです。
3.ハウルのキャラクター
3つ目の原作との大きな違いは、ハウルのキャラクターです。
原作ではかなりの皮肉屋で、絶えずソフィーと口論している姿が描かれます。また、見た目は平凡ですが、女性が惚れてしまう魔法を使って、口説き回るのが趣味という、かなりの女性好きです。しかも、狙った女性がハウルのことを好きになると満足して、次の女性を狙うという、たちの悪さがあります。
個人的には、ジブリ版の方が圧倒的にかっこ良く描かれていると思うので、「カッコいいハウル」を想像して原作を読むと、期待外れになってしまうかもしれません。
4.扉の先にあるもの
最後の原作との大きな違いは、扉の先にあるものです。
ハウルの城にある入り口の扉は、4つの場所に行ける魔法がかけられています。ドアノブを回すと行き先を決めることができ、それぞれの場所には色が振り分けられています。
赤と青と緑の行き先は、ジブリ版も原作も同じです。赤色はキングスベリという都で、青色は港町、緑は荒れ地へと繋がっています。行き先が違うのは黒色にしたとき。個人的には、ここが原作物語の中で特に面白い部分だと思います。
ドアノブを回して黒色にすると、ジブリ版では戦場と繋がっています。しかし原作では、ハウルの実家がある街と繋がっているんですね。しかもその街というのが、ソフィーたちの住む世界とは、別の世界となっています。
この別の世界でも物語は繰り広げられていくため、ジブリ版と原作のもっとも大きな違いは、この黒色の扉の先にあるものだと言えるかもしれません。
以上、
- ソフィーの家族関係
- 登場人物の設定
- ハウルのキャラクター
- 扉の先にあるもの
という原作とジブリ版の4つの違いについてお話ししてきました。
もちろん、設定が大きく異なっているので、ストーリー自体も、ジブリ版と原作ではかなり違ったものになっています。
ここで紹介したほかにも小さな違いはたくさんあるので、ジブリ版との違いを見つけながら、原作もぜひ楽しんでみて下さい。