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文学を読むために必要な最低限の知識まとめ!

2020年7月18日

文学を最大限味わうための知識

こんにちは、読書ブロガーの小助です。

みなさんは、小説を「なんとなく」読み進めていることってありませんか?

僕はありました。

大学に入ってから本格的に小説を読みはじめたんですが、そのときに気が付いたのは、小説を読むにはある程度の知識が必要だということ。

知識がなければ、作品をぼんやりとしか捉えられないんですね。

ここではそんな僕が、小説を理解するうえで必要だと感じた知識をまとめました。

  • 小説に出てくる概念を、全て理解したうえで読み進めたい。
  • どうせ小説を読むならできる限り味わいたい。

そんな方の悩みを解決していきます。

文学を理解するために知識が必要な理由

文学には必ず作者がいますよね。

そしてその作り手は、「文明・文化・思想・時代」などの様々な影響を受けています。

なので、文学をよく理解するには、その作品が作られた背景にある「文明・文化・思想・時代」などを知っておく必要があるんですね。

知識があると作品の理解が深まる

たとえば『人間失格』で有名な太宰治は、『聖書』を引用することが多かった作家です。

『駆込み訴へ』『トカトントン』『メリイクリスマス』などの作品を理解するには、『聖書』の基礎的な知識が必要とされます。

また、プロレタリア文学である『蟹工船』などは、マルクス主義や資本主義などの社会思想体系を知っておくと、より物語の理解が深まるでしょう。

知識ありで読むのと、知識なしで読むのには、作品に対する理解が大きく違ってきます。

簡単な知識をつけよう

でも『聖書』なんて分厚い本、簡単には読めませんよね。マルクス関連の本だって、完全に理解しようとすると一生を費やしてしまうかもしれません。

それに、『聖書』はいくつかある宗教のうちのひとつの聖典で、マルクス主義は数ある思想の中のひとつです。

そんな宗教や思想を全て完全に理解するなんて、たぶん難しいです。

だから僕は、どうにかして簡単に理解する方法はないかと探しました。

そして辿り着いたのが、「簡単な知識をつける」ということ。

必要最低限の知識を最短で身につけるのが、間違いなく一番おすすめです。人生は有限ですが、読みたい本は無限に出てくるので。

必要な知識=宗教・哲学・思想・近代史

宗教・哲学・思想・近代史。

この4つが文学作品を味わううえで必要になる知識だと思います。

なかでも宗教分野は必須で、とくに海外文学を読むなら大前提の知識です。

次に思想。文学は一時代に存在する個人の作家によって書かれることが多いので、政治・経済・社会的な思想がテキストに反映されやすいです。

古代~現代(ソクラテス・釈迦・孔子~ヴィトゲンシュタインら)までの哲学や、近代史などもおさえておきたいですね。

ここでは、そんな4つの分野を簡単に理解できる本を紹介していきます。

・宗教

『若い読者のための宗教史』

『若い読者のための宗教史』は、宗教全般の理解を深めるのに最適な本でした。

五大宗教はもちろん、世界の多様な宗教のことがこの一冊で分かります。

海外の書籍には珍しく、日本の神道まできちんと解説されているのも、日本人にとっては嬉しいポイントです。

リチャード・ホロウェイ (著)/ 上杉 隼人 , 片桐 恵里 (訳)

『聖書物語』

物語にヘビが出てくる。あるいは主人公がリンゴをかじる。そんなときは多くの場合、聖書の出来事がふまえられています。

『聖書』という物語は、ある意味で世界的なベストセラー文学です。

そのため後世の人々に与えた影響は計りしれず、様々な形で物語に挿入されます。

『聖書』自体はとても分厚い本なので通読するのは難しいですが、入門向けの『聖書物語』なら簡単に読めます。

必要最低限の旧約・新約聖書を分かりやすいストーリーにして伝えてくれる名著です。

・哲学&思想

『史上最強の哲学入門』

西洋の哲学者・思想家のことは、『史上最強の哲学入門』で簡単に理解することができます。

1ページごとに一人ずつの偉人が紹介され、読むと人類が辿ってきた哲学史&思想史がザッと分かる良書です。

気になった偉人がいれば、後で掘り下げていくのもおすすめです。

東洋思想はこちらでカバー。

・近代史

『学び直す日本史<近代編>』

日本の教育って、縄文~江戸時代までは詳しく学ぶのに、明治時代はサラッと流してしまいますよね。

明治維新をどうみるかで思想的な立場が分かれてしまうので、学校教育では教えにくいんだと思います。

『学び直す日本史<近代編>』は、そんな明治時代に焦点を当てて書かれた分かりやすい近代史本。近代日本文学を読むうえでは、欠かせない知識です。

安藤 達朗 (著)/ 山岸 良二 (監修)/ 佐藤 優 (編集)

『子どもたちに語るヨーロッパ史』

西洋文学を読むなら、ヨーロッパ史も知っておく必要があるでしょう。

『子どもたちに語るヨーロッパ史』はタイトル通りの分かりやすさ。

とくに、フランス革命あたりのことはヨーロッパ文学でよく言及されるので、押さえておきたい知識ですね。

ジャック ル・ゴフ (著),前田 耕作, 川崎 万里 (訳)

あれば良い知識=世界史・政治・自然科学・芸術

・世界史

『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』

古典文学などを読むのであれば、世界史の知識は必要です。

『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』は、時系列のストーリーで世界史を教えてくれる良書。年号や人物名などがほとんどなく、シンプルで分かりやすいのが魅力です。

1~4章までが古代、5章~9章が近代、10章が現代となっているので、好きな時代の歴史を簡単に参照することもできます。

『サピエンス全史』

通史を理解しておくと、人類を俯瞰した視点を持つことができるので、文学を読むときにもより広い視野で物事を捉えることができます。

『サピエンス全史』は、世界史よりももっと長いスパンで、人類がどのように進化してきたかということをザッと教えてくれる名著です。

海外の学者にはストーリーテリングに優れた人が多く、読み物として面白い知識本がたくさんありますが、この本もその中のひとつ。

スティーブン・ピンカーの『暴力の人類史』、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』なども通史としてはおすすめです。

・政治

『図解 はじめて学ぶ みんなの政治』

政治は「哲学&思想」を実践にうつした分野です。哲学や思想と密接な関係があり、小説を読むうえでも必要な知識になります。

日本では政治のことをあまり話しませんが、海外小説では日常会話として政治の話しが出てきたりします。

『図解 はじめて学ぶ みんなの政治』は、子ども向けに書かれた政治の概要がまとめられた本なので、政治を遠ざけてきた人でも問題はありません。

政治についての知識をザッと知りたい方におすすめです。

・自然科学

『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』

自然科学の視点から世界の仕組みを理解しておくことも大事です。

ただ、このあたりは学校で学んでいる部分も多くあるので、「知ってる知ってる」という方は飛ばしても良いですね。

進化論、量子論、宇宙論など、科学全般の知識を簡単に得たい人におすすめです。

リチャード・ドーキンス (著)/ デイヴ・マッキーン (イラスト)/ 大田直子 (訳)

・芸術

『西洋美術史入門』

芸術、特に西洋絵画は、小説でも取り上げられることの多いモチーフです。

夏目漱石でいえば、『坊っちゃん』に出てくるターナー、『三四郎』に出てくるウォーターハウスの「人魚」などですね。

絵画は物語の中で重要な役割を持っていることもあるし、ささやかな効果を生み出すだけの場合もあります。

いずれにせよ美術の知識を持っておくことは、小説を読むうえで役に立ちます。

『西洋美術史入門』は、今まで誰も教えてくれなかった「絵の読み方」を教えてくれる良書で、小説に出てくる絵の理解も進みます。

知識をつけて文学を楽しもう

食べたことのない料理を初めて食べたときって、「よく分からないけどおいしい」となることがあります。

その料理に使われている素材、スパイス、調味料などに知らない味があるので、どこがどう「おいしい」のか、説明するのが難しいんですね。

小説は料理と同じです。

前提となる知識がなければ、ただ「面白い」と感じるだけで、どこがどう面白いのかは説明しづらい。

結果、物語の筋くらいしか残るものがなく、細部を味わうことなく小説を消費してしまう。

もちろんそれでも良いんですが、僕は「少しもったいないかも?」と思ったので、ザッと最低限の知識を付けることにしました。

知識があると小説はもっと面白い

知識を増やすということは、知っている味を増やすということです。

そうすると、文字通り小説の味が広がり、作品をより理解することができます。

ここで紹介した知識があると、小説に出てくる概念で分からないことはほとんどありません。

最低限の知識を効率よく得て、名作と言われる文学を深く味わってみて下さい。

以上、文学を最大限に味わうための知識まとめでした!