『ゲド戦記』金色の竜の正体&テルーが竜になった理由とは?
この記事では、ジブリアニメ「ゲド戦記」の『竜の存在』について、解説をしていきます。
この「竜」なんですが、冒頭から出てくるにも関わらず、あまりよく分からない存在ですよね。
ここでは、
- 竜とは一体何者なのか
- テルーが竜に変身するのはなぜなのか
- ラストに一瞬登場する金色の竜の正体は何か
といった疑問を解決していきます。
『ゲド戦記』竜の存在について
ではまず、「竜の存在」について説明していきます。
ゲド戦記の舞台は「アースシー」という大陸なんですが、そんなアースシーにはるか昔からいる生き物が竜なんですね。
竜は人間よりもずっと長い時を生き、全てのことを知っていて、人間とは違った「太古の言葉」を話します。
・「太古の言葉」とは?
太古の言葉は、そのものの本当の姿を言い表す言葉で、例えば、石は太古の言葉で「トーク」と言います。
アースシーの魔法使いは、この「太古の言葉」を学ぶことで、そのものの力をコントロールして、魔法をかけたりすることができます。
太古の言葉をマスターした魔法使いは、竜と自由にはなすことができるので、「竜王」と呼ばれます。竜王は歴史的にも滅多に現れませんが、ゲドはそんな数少ない竜王で、実はとてもすごい魔法使いです。
ジブリ『ゲド戦記』では、そんな高尚な生き物である竜が、冒頭のシーンから理性を失ったように「共食い」をしています。
優れた知性を持つ竜同士が争うなんて、本来ならあり得ないはずの光景なので、「アースシーの世界がおかしくなり始めている」という状況を伝える場面になっています。
・なぜ竜どうしが争ったのか?
この原因は、後に出てくる魔法使い「クモ」による仕業。彼は不死の力を得ようとして、生と死の世界を繋げようとします。
そのために、世界の秩序が崩壊し、竜は太古の言葉を失い、獣のようになってしまったのです。もちろん、太古の言葉を用いる魔法使いの力もなくなっていくので、作中では魔法使いが魔法を使えない、という状態になっているんですね。
ここまでをまとめると、ゲド戦記の竜は、
- 人間よりも遙か昔から生きている高尚な生き物
- 全てのことを生まれながらに知っていて、太古の言葉を話す
- 作中では、クモが引き起こした混沌によって、力の源である太古の言葉を忘れ、理性を失っている
ということです。
こうした竜の背景を知っておくだけで、ゲド戦記の世界がグッと奥深くなると思います。
・ラストでテルーが竜に変身する理由は?
次に、ラストの場面でテルーが竜に変身するのはなぜか、というところをお話ししていきます。
結論から言うと、このアースシーでは、ごくごく稀に人間の姿で生まれてくる竜がいます。そのごく稀な存在がテルーなんですね。
ゲドが初めてテルーに会う場面で、「まさかな・・・」と意味深につぶやくシーンがあります。ゲドは竜王なので、テルーの中に竜の存在を感じ取った、という描写ですね。
・原作ではテルー以外にも竜として生まれるキャラクターが!
また、原作では、テルー以外にも人間として生まれる竜が何人か登場し、ゲド戦記のストーリーのなかで重要な役割を担っていきます。
ジブリ版ゲド戦記では、ただのヒロインとして登場するテルーですが、原作では主役級の存在として物語を引っ張っていくので、気になる方はぜひ読んでみてください。
・ラストに出てくる金色の竜の正体について
最後に「物語のラストに出てくる金色の竜の正体」についてお話ししたいと思います。
テルーが変身したのは黒色の竜ですが、なぜか金色の竜がテルーとアレンの前に現れるシーンがあります。これは、テルーが竜に変身したすぐあとの場面なので、「どういうことかな?」と思ってしまうところかもしれません。
ジブリ版『ゲド戦記』は、原作の第三巻をベースにストーリーが作られています。原作では、アレンとゲドがクモに立ち向かっていくのですが、そのほかにも「オーム・エンバー」という竜がその戦いに参戦します。
この竜の身体が原作では金色として描かれているので、ラストに出てくる竜はオーム・エンバーだと考えられます。
・カレシシ説について
ちなみに、原作には「カレシシ」という最長老の竜が登場し、「この金色の竜はカレシシではないか」と考える人もいます。
しかし、カレシシの身体はテルーと同じ鉄色で、悠久の年月を感じさせるような見た目や風格があります。色と見た目から考えると、やはりジブリ版のラストシーンに出てくる竜はオーム・エンバーでしょう。
以上、『ゲド戦記』の、
- 竜の存在
- テルーが竜に変身した理由
- ラストに出てくる金色の竜の正体
についてお話ししてきました。
このブログでは、ほかにも「ゲド」や「テナーの過去」、「真の名について」など、ゲド戦記に関する解説もいくつかまとめてあるので、興味のある方はそちらもご覧ください。