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ジブリ『ハウルの動く城』ソフィーの魔法を解説!ハウルとカルシファーが生き返った理由&契約も!

2021年7月28日

『ハウルの動く城』ソフィーの魔法を解説!

今回は『ハウルの動く城』に出てくる「ソフィーの魔法」について解説していきます。

彼女は地味で何の取り柄もないように描かれていますが、実はすごい魔法を使える人物なんですね。

・ソフィーの魔法=「命の魔法」

ソフィーの魔法とは、「ものに命を吹き込める」という「命の魔法」です。ジブリ版では明かされていませんが、原作でははっきりとそのことが描かれています。

具体的には、第一巻「魔法使いハウルと火の悪魔」で、カルシファーがソフィーに対して、「あんたなら、話しかければものに命を吹き込める」と言っていることから、ソフィーが命の魔法を使えることが分かります。

この「命の魔法」はとても便利で、ある程度のことならなんでもできてしまいます。

・「命の魔法」は空気にも命を吹き込める!

例えば原作の第二巻で、ソフィーが雲の上まで飛んでいく行く場面があるのですが、空気が薄いので、息がしにくくなってしまうんですね。

そこでソフィーが、「いいかい、空気よ!あたしたちのまわりに集まって、息をさせるの」というと、息がしやすくなります。これは、ソフィーが「命の魔法」で空気に命を吹き込んだため、空気たちが意識を持ち、ソフィーの言うことを聞いた、ということです。

この魔法の仕組みでは、ソフィーの命令することなら、大抵のことが叶うということになります。「椅子よ動け」というと、椅子は命を与えられ、ソフィーの言うとおり動き出すということです。

ジブリ『ハウルの動く城』の中で、ソフィーが少女に「おばあちゃんも魔女?」と聞かれ、「そうさ、この国一怖ーい魔女だよ?」と返す場面がありますが、「命の魔法」を使いこなせるようになれば、あながち間違いではないかもしれません。

ただし、原作でもジブリ版でも、ソフィー自身が「命の魔法」の仕組みを理解して使っている様子はありません。自分でもよく気が付かないまま、強力な魔法を使っているんですね。

・ジブリ版でソフィーの「命の魔法」が分かるシーン

ジブリ版で、このソフィーの「命の魔法」が分かる場面は2箇所あります。

  • 「動きなさいよっ」と飛行機をけりあげるシーン
  • 「ハウルが命を取り戻し、カルシファーが千年も生きられますように」とハウルとカルシファーに命を与えるラストシーン

の2つです。それぞれ詳しく見ていきます。

・飛行機をけりあげるシーン

1つ目の場面は、ソフィーの運転した小型の飛行機がハウルの城に突っ込んだため、城から引っ張り出そうとする場面です。

ロープを付けて、みんなで引っぱっても動かない飛行機に対して、ソフィーが「動きなさいよ!」と蹴り上げると、急にエンジンが動き出し、勢いよく外へ出ます。ここは、ソフィーが無意識に命の魔法を使い、小型の飛行機を動かしたと考えられる場面です。

・ハウルとカルシファーに命を与えるラストシーン

2つ目の場面は、ハウルとカルシファーに命を与えるラストシーンです。

ソフィーが2人に命を吹き込むことで、ハウルは生き返り、カルシファーは自由を手に入れ、物語的にもハッピーエンドとなります。

この場面については、ハウルとカルシファーが交わした契約を知っておくとより分かりやすいので、簡単におさらいしておきます。

・ハウルとカルシファーが交わしたのは「命と魔法の契約」

2人が交わした契約は「命と魔法の契約」です。

むかし死にかけていたカルシファーは、ハウルから命(心臓)をもらいます。その代わり、ハウルはカルシファーから魔力をもらうという契約を交わすのです。

ただし、良かったのは契約をした当初だけで、長い目で見ると、この契約はお互いにとって良くないものでした。なぜなら、カルシファーは城の暖炉で縛られて一生を不自由に過ごし、ハウルもこのままでは荒れ地の魔女のように、魔法で命を長らえることになり、そしていずれ限界がくるからです。

なのでカルシファーは、契約を解いて自由にして欲しいとソフィーに頼みます。しかし、カルシファーはハウルの心臓のおかげで生きているため、ただ契約を解いてハウルに心臓をもどすと、カルシファーは自由になるどころか、命を失って死んでしまいます。

以上が契約のおさらいですが、ここで、ソフィーの持つ「命の魔法」が活躍します。ソフィーの「命の魔法」を使えば、カルシファーが死ぬことなく、契約を解くことができるというわけです。

・ソフィーの魔法でハウルとカルシファーは命を取り戻した!

ラストシーンで力尽きたハウルに対して、「ハウルが命を取り戻し、カルシファーが千年も生きられますように」とソフィーが言うと、心臓はハウルの胸に入っていきます。そして「カルシファーが千年も生きられますように」という言葉通り、カルシファーはソフィーに命を与えられたため、ハウルの命がなくなっても生きられるようになるのです。

ラストシーンでは、このような「契約の解除」と「命の取り戻し」が、ソフィーの魔法によって行われています。

・原作ではもっと多くの場面でソフィーがものに命を吹き込んでいる

ジブリ版では、この

  • 飛行機を蹴り上げるシーン
  • 命を取り戻すラストシーン

の2箇所でソフィーの魔法が見られますが、原作ではもっと多くの場面でソフィーがものに命を吹き込んでいます。例えばカブ頭のかかしカブも、原作ではソフィーに命を吹き込まれたもののひとつです。

このソフィーの魔法は、原作物語の中でもとりわけ重要な要素となっていて、話を面白くしているので、興味がある方はぜひ原作も読んでみて下さい。

以上、『ハウルの動く城』で描かれる「ソフィーの魔法」についてでした。