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【全37作品】アフリカ文学の名作まとめ!

2021年6月26日

アフリカ文学の名作37選!

アフリカ文学は、多くがアパルトヘイトや独立運動、レイシズムやセクシズムなど、アフリカで起こっている問題を主題にした小説です。

それから、アフリカの神話・宗教・自然観を織り交ぜて描かれるアフリカンユーモア的な小説(『やし酒飲み』など)もあります。

ここではそんなアフリカ文学の名作をまとめました。まずは評価の高い小説9作品から紹介し、残る28作品を後にまとめています。

アフリカ文学の名作ベスト9!

1.『崩れゆく絆』チヌア・アチェベ

「アフリカ文学の父」と呼ばれるチヌア・アチェベの作品。『崩れゆく絆』はアフリカ文学の最高傑作として名高いです。

ナイジェリア・イボ族の社会を中心とした物語で、植民地化される前のアフリカ部族に触れることができます。

2.『アメリカーナ』チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(著)/くぼたのぞみ(訳)/河出書房新社

現代アフリカ文学を牽引していくであろう若手作家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの作品。

アフリカの高校生の男女が主人公の恋愛小説。舞台はナイジェリアとアメリカを行き来します。読みやすくも、人種や性別差などもテーマにしている現代的なアフリカ文学です。

3.『ジャンプ』ナディン・ゴーディマー

ナディン・ゴーディマ(著)/柳沢由実子(訳)/岩波文庫

ノーベル文学賞を受賞した、ナディン・ゴーディマの短編集。

アパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃された1990年頃の、南アフリカの混乱期を描いた小説群です。短編なので読みやすいのも魅力。

4.『ぼくらが漁師だったころ』チゴズィエ・オビオマ

チゴズィエ・オビオマ(著)/粟飯原文子(訳)

チゴズィエ・オビオマ(1986年生まれ)は本作でロサンゼルス・タイムズ文学賞など4つの新人賞に輝き、ブッカー賞の最終候補にもなった大型新人作家。

1990年代のナイジェリアを舞台に、9歳の少年の視点から語られる壮絶な物語です。

5.『恥辱』J. M. クッツェー

J.M. クッツェー(著)/鴻巣友季子(訳)

言わずと知れたノーベル賞作家のブッカー賞受賞作で、知名度的にはアフリカ文学でも屈指の作品です。

アパルトヘイトが撤廃されたあとの南アフリカ社会を背景に、そこに住み暮らす人間の姿がリアルに描かれます。

6.『草は歌っている』ドリス・レッシング

ドリス・レッシング(著)/山崎勉,酒井格(訳)

ノーベル賞作家、ドリス・レッシングのデビュー作。

アフリカの植民地を舞台に、そこに生きる白人の心理や社会などが克明に描かれているのが特徴です。

7.『アフリカ人、イクイアーノの生涯の興味深い物語』

ナイジェリアで拉致され、奴隷として半生を生きたアフリカ人・イクイアーノの自伝です。

彼の奴隷体験記は、現代のアフリカ文学に深い影響を与えていると言われています。

8.『泣くな、わが子よ』グギ・ワ・ジオンゴ

グギ・ワ ジオンゴ(著)/宮本正興(訳)

現在のアフリカ作家のなかでも、ノーベル賞の候補として最も有力なグギ・ワ・ジオンゴ。

1940年~1950年頃のケニア独立運動を背景に、ケニアの農村で生きる少年の視点で描かれる物語です。

9.『やし酒飲み』エイモス・チュツオーラ

エイモス・チュツオーラ(著)/土屋哲(訳)

アフリカの神話的な雰囲気を内包している物語で、人種差別やアパルトヘイトなどの問題を扱っていないアフリカ文学。

アフリカ民族独特のユニークさに引き込まれる人も多くいて、アフリカ古典の世界では最高峰と言われている作品です。

アフリカ文学の名作31作品!

1.『マヨンベ』ペペテラ

ポルトガルからの独立を目指したゲリラ戦を通して描かれるアンゴラの文学。

2.『ラウィノの歌/オチョルの歌』オコト・ビテック

オコト・ビテック(著)/北村美都穂(訳)
英国の植民地だったウガンダを舞台に、ウガンダの独立戦争が描かれる革命の文学。

3.『ツォツィ』アソル・フガード

アソル・フガード(著)/金原瑞人,中田香(訳)
アパルトヘイト政権下の南アフリカで、非行少年がある赤ん坊を通して自分自身と出会っていく物語。

4.『ボンバの哀れなキリスト』モンゴ・ベティ

キリスト教宣教師を通して、1930年代の植民地カメルーンの内面が描かれる作品。

5.『スラム』トマス・アカレ

トマス・アカレ(著)/永江敦(訳)
ナイロビ東部を舞台に、スラムに住む失業者エディを通して描かれるスラムの物語。

6.『ケニアの女の物語』ムトニ・リキマニ

独立戦争中の1960年代・ケニアに生きた女性達の記録。

7.『アラーの神にもいわれはない』アマドゥ・クルマ

シエラレオネ・リベリアの内戦で起こる惨劇のなか、子ども兵の生き方が描かれる。

8.『世界が生まれた朝に』エマニュエル・ドンガラ

エマニュエル・ドンガラ(著)/ 高野秀行(訳)
植民地~独立までのコンゴを舞台に、ひとりの青年の一生を通してアフリカの変遷が描かれる大河小説。

9.『一つ半の生命』ソニー・ラブ・タンシ

ソニー ラブ・タンシ(著)/樋口裕一(訳)
アフリカの架空の国を舞台に、ただただ地獄が繰り広げられる何でもありの小説。

10.『漆黒の王子―アフリカの吟遊詩人=グリオ36の物語』カマ・シウォール・カマンダ

短い物語が36篇収録されたアフリカの「おはなし」集。

11.『骨たち』チェンジェライ・ホーヴェ

チェンジェライ・ホーヴェ(著)/福島富士男(訳)
ジンバブエ独立戦争を背景に、2人の女性が力強く生きる様子が描かれる物語。

12.『ゼンゼレへの手紙』J.ノジポ・マライレ

J.ノジポ マライレ(著)/三浦彊子(訳)
ジンバブエに生きた母からの手紙を通して、独立戦争やアフリカの魂が描かれる、娘への深い愛に溢れた小説。

13.『満たされぬ道』ベン・オクリ

ナイジェリアの「アビクの伝説」をもとに書かれた児童文学的作品。

14.『ビアフラの落日』エレチ・アマディ

ビアフラ共和国で起こった内戦を描いたビアフラ戦争記。

15.『バオバブの木と星の歌』レスリー・ビーク

レスリー・ビーク(著)/近藤理恵(イラスト)/さくまゆみこ(訳)
1990年頃のナミビアを舞台に、少女ビーが生まれてから思春期までが、さまざまな人間模様とともに描かれる小説。

16.『力の問題』ベッシー・ヘッド

ベッシー・ヘッド(著)/中村輝子(訳)
アパルトヘイト下の南アフリカで、カラード(白人と黒人のダブル)として生まれた少女の半生を描いた物語。

17.『イカルス・ガール』ヘレン・オイェイェミ

ヘレン・オイェイェミ(著)/金原瑞人,ふなとよし子(訳)
カラードとして生まれた8歳のジェスが、幽霊を通して自分自身と戦っていく物語。

18.『アフリカ農場物語』オリーヴ・シュライナー

オリーヴ・シュライナー(著)/大井真理子,都築忠七(訳)
南アフリカ共和国の東ケープを舞台に、植民地での営みを描いたアフリカ文学の先駆となる作品。

19.『まして束ねし縄なれば』アレックス・ラ・グーマ

1950年代、南アフリカケープタウン郊外を舞台に、カラード居住区のスラムで起こる事件を描いた物語。

20.『二つの世界のはざまで』ミリアム・トラーディ

ミリアム・トラーディ(著)/楠瀬佳子(訳)
南アフリカ共和国の都市に生きるアフリカ人女性の、ごく普通の物語

21.『脱獄』ティム・ジェンキン

ティム・ジェンキン(著)/北島義信(訳)
アパルトヘイトに反対した白人運動家が脱獄計画を図る、実話を元にしたサスペンス。

22.『さあ、すわってお聞きなさい』エレン・クズワヨ

アフリカの名もなき女性たちによる自伝的物語集。

23.『母から母へ』シンディウェ・マゴナ

シンディウェ・マゴナ(著)/峯陽一,アリーン・コザ(訳)
アパルトヘイト撤廃後の南アフリカを背景に、黒人に襲われ殺された白人女性の事件を取り巻いて描かれるアフリカ文学。

24.『デイヴィッドの物語』ゾーイ・ウィカム

ゾーイ・ウィカム(著)/くぼたのぞみ(訳)
混血層出身の主人公を通して、アパルトヘイト以後の南アフリカの混迷を描いた物語。

25.『アフリカの民話集 しあわせのなる木』

島岡由美子(著)/ ヤフィドゥ・A. マカカ(著)
東アフリカで伝わる民話を20篇収録した民話集。

まとめ

以上、アフリカ文学37作品を紹介してきました。

ミア・コウトなど邦訳されていない作家をのぞけば、アフリカで有名な作家の作品はほとんど網羅しています。ここで紹介した本を参考に、アフリカ文学の旅へ出てみて下さい。