『ゲド戦記』に出てくる『エアの創造』とは?実際にあるのか調べてみた!

2020年11月26日

『ゲド戦記』に出てくる『エアの創造』とは何か?

『ゲド戦記』を読んでいると、序文にこんなものが書かれていました。

ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなれ
飛翔せるタカの
虚空にこそ輝ける如くに

-『エアの創造』-

かっこいい文章ですね。

この『エアの創造』は、現実世界に本当にある本なのか疑問に思ったので、そのことを調べてみました。

・『エアの創造』は物語内の架空の書物

結論から言うと、『エアの創造』は『ゲド戦記』の物語内にある架空の書物です。

なので、実際には存在せず、作者が設定として作った本ということになります。

二重カギ括弧で『エアの創造』とあったので、僕は実際にある書物からの引用なのかなと思ったんですね。

ですが、読み進めてみるとどうやら違うみたいでした。

・「エア」は神話の発祥地

『ゲド戦記』の舞台は、アースシーという世界の多島海(アーキベラゴ)です。

多島海の北側には「エア」という島があり、物語内では「神話の発祥地」と呼ばれています。

その「エア」のことを歌った書物が、『エアの創造』という本なのですね。

「ことばは沈黙に 光は闇に~」という詩は、アースシーで世界最古の歌といわれ、多島海にいる魔法使いは誰もが知っている歌です。

・『エアの創造』の原文

『ゲド戦記』は英語で書かれた本なので、『エアの創造』の原文も英語になります。

Only in silence the word,
only in dark the light,
only in dying life,
bright the hawk's flight
on the empty sky.

『Creation of Ea』

きれいな韻を踏んでいますね。

このシンプルな英語詩を、訳者の清水真砂子さんは文語体で格調高く訳されました。

『ゲド戦記』の雰囲気にとても良く合っていて、個人的には名訳だと思います。

・『エアの創造』の詩が『ゲド戦記』の全て

『ゲド戦記』を振り返ってみると、ゴント島に生まれて後に魔法使いとなる「ゲド」の生涯を書いた物語です。

ゲドはアースシーの様々な場所を旅しますが、心に思っていることはいつもひとつ。

それは、『エアの創造』にある詩に書かれたことです。

すなわち、

ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなれ

ということ。

相反するように見えるけれど、ふたつのものはひとつであり、対立するものではない。

そうしたことが、ゲドの様々な旅路を通して描かれていきます。

著者であるアーシュラ・ル・クヴィンは、このような寓話的世界観を作るのがとても上手な作家で、他の作品ではヒューゴー賞やネビュラ賞も受賞しています。

『ゲド戦記』が面白かったという人は、ぜひ他の作品もチェックしてみて下さい。それでは!

アーシュラ・K・ル・グィン (著)/丹地陽子 (イラスト)/ 小尾芙佐 (訳)他

\期間限定!今なら2ヶ月無料!/