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板倉俊之のおすすめ小説まとめ!全作のあらすじも!『パーフェクト太郎』から処女作『トリガーまで』

板倉俊之のおすすめ小説

お笑い芸人の板倉俊之さんは天才肌芸人として知られており、小説家としても活躍しています。

2023年時点では、板倉さんが執筆した小説は5作。

小助
ここではそんな板倉さんの小説を全て読んだ僕が、それぞれのあらすじや、おすすめ作品を紹介します!
  • 2009年:『トリガー』
  • 2012年:『蟻地獄』
  • 2013年:『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』
  • 2018年:『月の炎』
  • 2021年:『鬼の御伽』

先に一番のおすすめだけ言っておくと、2018年の『月の炎』です。

板倉さんの小説は割と重めな作品が多いですが、『月の炎』は小学生の少年たちが主人公なので、男女問わず面白く読むことができます。

『トリガー』のあらすじ&紹介

舞台は国王制になった近未来の日本。

国王は犯罪数を減らすため、各都道府県に「トリガー」という存在を配置します。

トリガーは銃を所持し、自由に「悪」を裁く(殺す)許可が与えられています。

トリガーによっては、電車の中で態度が悪いサラリーマンを撃ち、店員に暴言を吐くチンピラを撃ち、ポイ捨てをする通行人を撃ちます。

絶対的な力を前にしたとき、人々の悪は無くなるのか?

全10人のトリガーを描きながら、様々な正義と悪に光を当てた板倉俊之さんの処女作です。

漫画も人気です。

『蟻地獄』のあらすじ&紹介

友人をヤクザから救うため、たった5日で300万円を用意しなければならなくなった19歳の主人公。

普通の方法では、300万円なんて大金を用意できるはずがありません。

主人公は様々な犯罪を考え、最終的にはかなりイカれた方法を思い付きます。

太宰治の『走れメロス』を下敷きにした、友情を守るための本格ミステリー。

正直に言うと、3年前の『トリガー』とは比べ物にならないほど物語の作り方が上手くなっていて、主人公が切羽詰まった状況などは、緊迫感があってかなり面白く読めます。

少し猟奇的な怖さやグロさがあるので、苦手じゃない人におすすめしたい作品です。

こちらも漫画が人気です。

『月の炎』のあらすじ&紹介

主人公は、父親を火事で亡くした10歳の少年・弦太。

彼の父親は消防士で、火事の中に残っていた子どもを助けようと、ほとんど助かる見込みのない救出を試みて死んだのでした。

「何かで迷ったときは損得ではなく、一番正しいと思ったことをしなさい。たとえそれが、どんな代償を払うことになったとしても」

父親がいつも言っていたセリフの通り、弦太は立派な人間になるよう、前向きに生きていました。

しかしあるとき、弦太が気になっていたクラスの女の子の家が火事になります。

それから、学校のウサギ小屋も放火に遭います。

弦太は仲の良い二人の友人とともに、放火の犯人を捜し始めるのでした。

しかしその犯人は、思いもよらぬ人物だったのです。

前作の『蟻地獄』で培われたミステリー力が存分に発揮されていて、展開が非常に面白い作品。

物語自体は少年らしくさっぱりとしていて、弦太と涼介と隼の三人組の友情や、女の子との淡い恋愛も見どころです。

小学生や中学生が読んでも面白く読める小説だと思います。

個人的には、板倉さんの小説の中で一番好きな作品です。

『鬼の御伽』のあらすじ&紹介

誰もが知っている昔話『桃太郎』の大人版リメイクです。

桃太郎はなぜ桃から生まれたのか?鬼はどういう存在なのか?なぜ犬と猿と雉が仲間になったのか?

昔話ではスルーされていた疑問が、新しい解釈で丁寧に語られます。

 

実は「桃太郎」自体は、芥川龍之介や太宰治など多くの作家がリメイクしているので、目新しいことはありません。

ただ、僕は文豪の桃太郎をたくさん読みましたが、ここまで踏み込んで鬼と人間の関係を描いたのは『パーフェクト太郎』が初めてだと思います。

そうした意味では、文学的にみても価値がある作品かもしれません。

あわせて読みたい
芥川龍之介の『桃太郎』が面白い!たった3分で昔話との違いを解説

 

また、『鬼の御伽』には『新編 泣いた赤鬼』という作品も収録されており、こちらは『泣いた赤鬼』というおとぎ話の大人版リメイク。

『パーフェクト太郎』よりも昔の設定で、『十二国記』のような中世アジアみたいな世界観になっており、個人的にはめちゃくちゃ好きです。

そして『鬼の御伽』自体は、『パーフェクト太郎』と『新編 泣いた赤鬼』の二つのおとぎ話を、現代の少年が祖父と父から聞くという構成になっています。

画像にするとこんな感じ▽

面白いのは、桃太郎のリメイクである『パーフェクト太郎』と、泣いた赤鬼のリメイクである『新編泣いた赤鬼』、さらには『鬼の御伽』までの物語が繋がっているところ。

このあたりは板倉さんらしいミステリー感もあって、一つの作品として読むことができる仕掛けになっています。

『パーフェクト太郎』だけ知っている!という人も、ぜひ『新編泣いた赤鬼』と一緒に読んでみて、繋がっている物語を楽しんでほしいです。

以上、板倉俊之さんの小説全作を紹介してきました。

一番面白かったのが『月の炎』。

サスペンスやグロが大丈夫であれば『蟻地獄』で、軽く読みたいなら『鬼の御伽』、この2作品は同じくらい面白かったです。

『トリガー』も面白いですが、完成度的にはやや劣る印象でした。

いずれの作品も、人間の悪と正義、闇と光に焦点が当てられています。

アプローチは違いますが、同じテーマを掘り下げているので、読んでみて面白ければ違う作品もぜひ読んでみてください。