源氏物語

源氏物語「若菜下」簡単なあらすじ!猫をめぐる柏木と女三の宮の恋愛を解説!

2022年7月15日

『源氏物語』第35帖「若菜下」のあらすじ

光源氏:41歳〜47歳

女三の宮の猫を飼う柏木

女三の宮への想いを捨てきれない柏木は、心の慰めに、東宮を経由して例の唐猫を借ります。

さらには女三の宮の姉である女二の宮を妻に迎えますが、やはり代わりにはならないと、女三の宮への思いは募ってゆく一方です。

朱雀院の御賀の準備

朱雀院が50歳になるため、光源氏はお祝いに六条院の女楽(女性たちの演奏)を計画します。

朱雀院は出家した身ですが、娘・女三の宮と会いたいと常に願っていたため、再会を果たしてあげようと考えられた御賀でした。

紫上の危篤

しかし、紫上が急な危篤に陥り御賀は中止。光源氏は付きっきりで看病し、六条院は騒然とします。

原因は六条御息所の物の怪で、一時は死んだかと思われた紫上ですが、懸命の祈祷により息を吹き返します。

執念深い六条御息所に驚きを禁じ得ない光源氏ですが、紫上はなんとか少しずつ回復していくのでした。

柏木と女三の宮の密通

その頃、柏木は女三の宮とついに密通し、なんと子まで孕みます。

懐妊の知らせを受けた光源氏は訝しみますが、偶然見かけた手紙を読んで、柏木と密通していたことを知ります。

あまりにも早く関係を知られた柏木は、自責と後悔の念に駆られ、参内することもままなりません。

重病化する柏木

延び延びとなっていた朱雀帝の御賀にも参加しないという柏木に対して、光源氏は試楽(予行演習)に招きます。

しかし、その夜の酒の席で、光源氏の放った当てつけがましい言葉が胸に刺さります。

気分が悪くなった柏木は、そのまま持病が重症化し、自らの死期も近いと悟るのでした。

『源氏物語』「若菜下」の恋愛パターン

柏木―女三の宮

  • 柏木:女三の宮付きの女房を使って密通を果たすも、すぐさま光源氏に知られて病む
  • 女三の宮:柏木に襲われて子を身籠る。情けない我が身を思って泣く

『源氏物語』「若菜下」の感想&面白ポイント

「若菜(下)」巻では、

  • 柏木と女三の宮の密通
  • 紫上の危篤

この二点を軸に物語が進みます。

まずは、柏木が女三の宮と密通するに至った経緯を見ていきましょう。

柏木が女三の宮の猫を飼う

柏木は女三の宮への想いを抑えきれず、彼女の猫でいいから手に入れたいと思っています。

彼は帝に言って、女三の宮の猫を手に入れることに成功。

可愛らしい猫と、女三の宮を猫に重ねて可愛がる柏木の様子が数段に渡って描かれます。

『源氏物語』でも猫が登場するのは「若菜」巻だけなので、猫好きの方のために引用します。とても長いので、犬派の人は読み飛ばして下さい。

柏木が猫を可愛がるシーン

内裏で飼われている猫たちが、子をたくさん産んで方々にもらわれていき、春宮がいる邸にもその子猫がいるが、可愛く歩く様子を見るにつけても、柏木は女三の宮の唐猫を思い出さずにはいられないので、「六条院の女三の宮が飼っておられる猫は、見た目が珍しくて可愛かったですよ。少し見かけただけですが」と話すと、春宮はたいへんな猫好きなので食いついて、詳しくお尋ねになる。「唐猫で、ここにいる猫とは少し違っておりました。同じ猫は猫でも、人懐っこい気性だとまして可愛く思えるものですね」などと、あえて春宮が気になるように話している。春宮はそれを聞くと、明石の女御を通して女三の宮に伝え、その唐猫を連れて来させた。「ほんとうに可愛い猫ですね」と人々が興じていると、柏木はこうなることを予想していたので、数日置いてからまた参内した。幼少の頃から朱雀院によくしてもらっていた柏木は、朱雀院が出家してからも、その息子である春宮に心から親しく仕えていたのだった。柏木は琴を教えるついでに、「猫をたいへん多く集めていらっしゃいますね。どこでしょう、私があの時見た猫は」と探して、女三の宮の唐猫を見つけた。可愛くてたまらないので掻き撫でている。春宮も、「たしかに可愛い猫だね。まだ懐いてくれないのは私に馴れていないからだろうか。私のところの猫も懐っこさでは劣っていないとみえるね」とおっしゃるので、「猫なので主人を見分けることが難しいのでしょうが、その中でも賢い猫はそれができるのかもしれませんね」などと言って、「こちらには勝るとも劣らない猫たちがいらっしゃるようなので、この唐猫は私が預かっておきましょう」と申し上げる。柏木は心の中で、自分の行為があまりにも馬鹿げていると思うが、どうしようもない。ついに女三の宮の唐猫を手に入れて、夜も近くで一緒に寝ている。起きると猫の世話をして、大切に養っている。初めは素っ気なかった猫も今では馴れて、歩くと足元にまとわりつき、体をすり寄せては甘えるのを、柏木はたまらなく可愛いと思う。ぼうっと女三の宮のことを考えながら寄り臥していると、猫が近づいてきて「ねうねう(寝む寝む)」と可愛げに鳴くので、柏木は掻き撫でて、「女三の宮との関係が進む兆しかな」とほほえむ。「恋慕う人の形見として手懐けたけど、どんな気持ちでねうねう(寝む寝む)と鳴くのだろう。これも前世からの運命なのだろうか」と顔を見ながら言うと、猫はいっそう可愛く鳴くので、懐に抱いて物思いに耽っている。女房たちは「どうして急に猫を可愛がっておられるのかしら?猫なんて今までかまいもしなかったのに」と訝しんでいる。春宮がそろそろ返してと言っているのも聞かず、柏木は猫を自分だけのものにして、心の慰めとしているのだった。

(内裏の御猫の、あまた引き連れたりけるはらからどもの所どころに散れて、この宮にも参れるが、いとをかしげにて歩くを見るに、まづ思ひ出でらるれば、「六条院の姫宮の御方にはべる猫こそ、いと見えぬやうなる顔してをかしうはべしか。はつかになむ見たまへし」と啓したまへば、猫わざとらうたくせさせたまふ御心にて、くはしく問はせたまふ。「唐猫の、ここのに違へるさましてなむはべりし。同じやなるものなれど、心をかしく人馴れたるは怪しくなつかしきものになむはべる」など、ゆかしく思さるばかり聞こえなしたまふ。聞こしめしおきて、桐壺の御方より伝へて聞こえさせたまひければ、まゐらせたまへり。「げに、いとうつくしげなる猫なりけり」と人々興ずるを、衛門督は尋ねんと思したりきと御気色を見おきて、日ごろ経て参りたまへり。童なりしより、朱雀院のとりわきて思し使はせたまひしかば、御山住みに後れきこえては、またこの宮にも親しう参り心寄せきこえたり。御琴など教へきこえたまふとて、「御猫どもあまた集ひはべりにけり。いづら、この見し人は」と尋ねて見つけたまへり。いとらうたくおぼえてかき撫でてゐたり。宮も「げにをかしきさましたりけり。心なむまだなつきがたきは、見馴れぬ人を知るにやあらん。ここなる猫どもことに劣らずかし」とのたまへば「これはさるわきまへ心もをさをさはべらぬものなれど、その中にも心賢きは、おのづから魂はべらむかし」など聞こえて「まさるどもさぶらふめるを、これはしばし賜りあづからむ」と申したまふ。心の中に、あながちにをこがましく、かつはおぼゆ。つひにこれを尋ねとりて、夜もあたり近く臥せたまふ。明けたてば、猫のかしづきをして、撫で養ひたまふ。人げ遠かりし心もいとよく馴れて、ともすれば衣の裾にまつはれ、寄り臥し、睦るるを、まめやかにうつくしと思ふ。いといたくながめて、端近く寄り臥したまへるに、来てねうねうといとらうたげになけば、かき撫でて、うたてもすすむかな、とほほ笑まる。「恋ひわぶる人のかたみと手ならせばなれよ何とてなく音なるらん。これも昔の契りにや」と顔を見つつのたまへば、いよいよらうたげになくを、懐に入れてながめゐたまへり。御達などは「あやしくにはかなる猫のときめくかな。かやうなるもの見入れたまはぬ御心に」と咎めけり。宮より召すにもまゐらせず、とり籠めてこれを語らひたまふ)

『源氏物語「若菜下」』

「ねうねう」の意味

日本ではもともと、猫は「ねうねう」と鳴くと思われていました。

小助
現代では「にゃーにゃー」ですね。ちなみに英語だと「ミューミュー」だそうです。

柏木はこの「ねうねう」を「寝む寝む」と連想し、「寝よう寝よう」と誘ってくる女三の宮を猫の中に見ています。

ただ、猫という言葉の由来には、

  • 「寝る子」=「ねこ」となった説
  • 「寝好(ねこま)」=「ねこ」となった説

などがあります。

柏木が「寝る」を連想したのも艶っぽい感情だけではなく、「猫は寝るものだ」という社会通念が背景にあったかもしれません。

ともかく、柏木は手にした猫を女三の宮に見立て、心の慰めとしていたのです。

少し脱線

1000年も前から「猫×人間」が想像されていたことを考えると、現代の猫耳キャラは生まれるべくして生まれたのだと感じます。手塚治虫『リボンの騎士(1963年)』に登場するヘケートが「猫×人間」の元祖だと言われていますが、柏木と唐猫が戯れる場面にも、猫耳キャラ創造の一端を見出せます。

柏木と女三の宮の密通〜恋愛成就を表す唐猫の夢〜

それから6年が経った夏、柏木はついに女三の宮と密通します。

「若菜下」巻は、物語の途中で一気に6年間の月日が流れるので、登場人物たちの年齢がグッと上がります。

襲われた女三の宮は呆然としますが、柏木はうたた寝の中で、唐猫を返す夢を見ます。

柏木はほんの少しまどろんだ夢の中に、すっかり懐いているあの唐猫が可愛げに鳴きながら近づいて来たのを、女三の宮に返そうと思って連れて来たのだったと思ったが、なんのために返すのかと考えているうちに目覚めたので、なぜこんな夢を見たのだろうかと思う。

(ただいささかまどろむともなき夢に、この手馴らしし猫のいとらうたげにうちなきて来たるを、この宮に奉らむとてわが率て来たると思しきを、何しに奉りつらむと思ふほどにおどろきて、いかに見えつるならむと思ふ。)

『源氏物語「若菜下」』

これまで女三の宮代わりに可愛がっていた唐猫を、夢の中で返す柏木。

それから柏木は横にいる女三の宮に向かって、あの唐猫が部屋を荒らしたとき(「若菜上」巻)、彼女の姿を見たことを明かします。

  1. 唐猫が女三の宮の部屋を荒らしたため、彼女の姿を垣間見て心を奪われる
  2. 柏木はその唐猫を捕まえ、彼女に重ね合わせて抱いて心を慰める
  3. 例の唐猫を帝経由でもらって、女三の宮だと思って可愛がる
  4. ついに逢瀬を遂げ、夢の中で唐猫を返す

唐猫がきっかけで始まった柏木の恋愛は、あのとき抱いた唐猫を夢の中で返すことで、成就の形を見せます。

猫を持ち込むことで恋愛物語のマンネリを回避しつつ、あとから登場した柏木というキャラクターをしっかりと立たせた、紫式部の見事な工夫だと感じました。

柏木と女三の宮の関係が一瞬でバレる

女三の宮は柏木と寝たことで、なんと子を孕んでしまいます。

彼女は光源氏に妊娠したことを告げますが、光源氏はいぶかしみます。

光源氏
(だいぶ前だから心あたりないんだけどなぁ・・・まぁそんなこともあるのかな???)

後半でまとめていますが、そのころ紫上が急に倒れたので、光源氏は付きっきりで看病していました

そのため、ほとんど女三の宮の相手などしていなかった光源氏。

しかし、妊娠と聞いては流石に知らんふりもできず、なんとか紫上の体調が良いときを見計らって女三の宮の見舞いに行きます。

すると、枕元に手紙があるのを見つけてしまうのです。

それはもちろん、柏木からの熱いラブレターでした。

光源氏はそれを読むと、女三の宮のおなかにいる子の父親が柏木であることを悟ります。

光源氏
(わお・・・やっぱり私の子じゃないのね・・・)

女三の宮は顔面蒼白、すぐに柏木にも伝わりました。

柏木は恐れおののき、宮中にもほとんど出ず、病がちになって引きこもってしまいます。

柏木の手紙はなぜ見つかったのか?

柏木の手紙が見つかった原因は、侍従(女三の宮の世話人)と女三の宮がしっかりしていなかったからです。

二人のミスは次の通り。

  • 侍従:密通後も柏木の手紙を仲介していた
  • 女三の宮:来た手紙をきちんと隠さず、枕の下に挟んだだけだった

侍従は密通後に柏木の手紙を受け取ってはいけなかったですし、女三の宮も来てしまった手紙はしっかりと隠しておくべきでした。

現代的に例えると、

  • 侍従のミス→一夜限りの相手のラインをブロックしていなかった
  • 女三の宮のミス→携帯にロックをかけていなかった

みたいなものでしょうか。

女三の宮は登場時から、「はしたない」「情趣がない」「無防備だ」ということがよく言われていました。

侍従も同じで、思慮が浅い人間だと描かれています。

この点は、光源氏が密通した藤壺の女房とは対照的です。

藤壺の女房である王命婦は、藤壺と光源氏の密通があったあと、藤壺に手紙を届けるのを拒んでいます。

もちろん藤壺も、光源氏とのことは決して帝に知られないようにと、最大の配慮をしたことでしょう。

その甲斐あって、光源氏と藤壺の密通は、最後まで桐壺帝に知られることはありませんでした。

「藤壺=王命婦」のペアと、「女三の宮=侍従」のペアの格の差が、如実に表れている場面となっています。

紫上の危篤と六条御息所の物の怪

「若菜下」巻のもう一つの重要ポイントは、紫上の危篤です。

小助
彼女は10歳で光源氏に引き取られてから、ずっと彼のそばにいたメインヒロインです。

そんな紫上ももう39歳になりましたが、この年になって、女三の宮の出現によって正妻の座を追われます。

これがストレスとなって発病。

よもや亡くなるのかと思われましたが、なんと寸前で生き返ります。

小助
これが本当に意外でした。紫上は強い女性でもあったことが分かります。

そしてなんと、彼女には物の怪が憑いていました。

正体は光源氏の元カノで、今は亡き六条御息所。
小助
(ま、またお前かよ!)

と思わずツッコんだのは僕だけではないはず。

なぜなら光源氏の前妻・葵上は、嫉妬に駆られた六条御息所の怨霊によって取り殺されているからです。

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葵上だけでなく、紫上をも殺そうとした六条御息所の物の怪。

彼女は光源氏が言っていた悪口を聞いて、

うーわ、源氏の君が私の悪口言ってる。気に入らんから紫上に取り憑こ。彼女のことは嫌いじゃないけどな
六条御息所

と、紫上を死の淵まで追いやったのです。

▽六条御息所(物の怪)が紫上に取り憑いた理由

あなた(光源氏)が紫上とお話ししていた最中に、私の悪口を言っていたことがたいそう恨めしくて。私はもう死んでいる身なのだから、むしろ誰かが私の悪口を言っているのをあなたが庇ってくれるくらいでも良いのにと、そう思ったばかりですが、このような怨霊となった身ですので、こんな大袈裟なことになってしまったのです。

(思ふどちの御物語のついでに、心よからず憎かりしありさまをのたまひ出でたりしなむいと恨めしく。今はただ亡きに思しゆるして、他人の言ひおとしめむをだに省き隠したまへとこそ思へ、とうち思ひしばかりに、かくいみじき身のけはひなれば、かくところせきなり。)

『源氏物語「若菜下」』

でも本当に光源氏が悪口なんて言っているのでしょうか?

以下は光源氏が六条御息所について批評している場面です。

(光源氏)「秋好中宮の母親である六条御息所は、優雅なさまが人並みはずれていて、過去の女性を思い返したときはまず初めに思い出される人ですが、会うのは気詰まり方でした。自然と足が遠のいた私を彼女が恨むのももっともなことですが、物の怪となって葵上を取り殺すまで恨みを貫かれたのは、とても苦しいことです。一緒にいてもくつろげることがなく、長く共に暮らしてゆくことなどは考えられない人だったので、私がくだけた態度を取りでもしたら幻滅されるのではないかと、あまりに自分を取り繕っているうちに、やがて次第に会わなくなった仲なのです」

(中宮の御母御息所なむ、さまことに心深くなまめかしき例にはまづ思ひ出でらるれど、人見えにくく苦しかりしさまになむありし。恨むべきふしぞげにことわりとおぼゆるふしを、やがて長く思ひつめて深く怨ぜられしこそ、いと苦しかりしか。心ゆるびなく恥づかしくて、我も人もうちたゆみ朝夕の睦びをかはさむには、いとつつましきところのありしかば、うちとけては見おとさるることやなど、あまりつくろひしほどに、やがて隔たりし仲ぞかし)

『源氏物語「若菜下」』

悪口ではないですが、良いことは言っていませんね。

小助
光源氏の正直な気持ちでしょうが、それを聞いた六条御息所は面白く思わなかったのでしょう。

彼女は物の怪となって紫上に取り憑き、後一歩のところで光源氏たちに引き剥がされます。

このように「若菜下」巻では、六条御息所の物の怪の再登場も見どころになっています。

朧月夜と朝顔の姫君の出家

この巻では、朧月夜と朝顔の姫君も出家する様子が描かれています。

これはつまり、光源氏とゆかりのある女性ほぼ全員が、彼と恋愛関係から離れたことを意味します。

  • 紫上△:出家寸前(「若菜下」巻)
  • 明石の君△:父にならって出家寸前(「若菜上」巻)
  • 女三の宮△:柏木と密通(「若菜下」巻)
  • 葵上×:死去(「葵」巻)
  • 六条御息所×:死去(「澪標」巻)
  • 藤壺×:死去(「薄雲」巻)
  • 空蝉×:出家(「関屋」巻)
  • 夕顔×:死去(「夕顔」巻)
  • 末摘花×:醜くはしたないので距離を置いている
  • 花散里×:泊まっても男女の関係はない
  • 朧月夜×:出家(「若菜下」巻)
  • 朝顔の姫君×:出家(「若菜下」巻)
  • 玉鬘×:髭黒大将に嫁ぐ(「真木柱」巻)

光源氏の恋愛物語だった『源氏物語』は、第31帖「真木柱」巻での玉鬘の退場で、すでにプレイヤーが壊滅状態でした。

残っていたのは、

  • 朝顔の姫君
  • 朧月夜

この2名くらい。

「若菜」巻では新キャラとして女三の宮が登場しましたが、すぐに柏木が盗んでしまいます。

そこに加えて、朝顔と朧月夜が出家したのですから、明らかに光源氏の恋愛の幕は下ろされてしまいました。

これからは、光源氏が物語からよりフェードアウトしていき、息子や孫の世代がメインで語られるようになっていくのでしょう。

「若菜」巻で女三の宮が柏木に盗まれたことは、

  • 光源氏の引退と次世代の活躍

を象徴的に表しているのだと思います。

次巻の「柏木」では、女三の宮と密通した柏木のその後が描かれます。

『源氏物語』「若菜下」の主な登場人物

柏木

女三の宮の唐猫をもらい、彼女だと思って可愛がる。

最後には我慢しきれず密通し、子を孕ませてしまう。

女三の宮

柏木に襲われて子を孕む。

さらに柏木からの手紙を光源氏に読まれ、すぐに密通がバレてしまう。

光源氏

紫上が危篤になり、六条御息所の物の怪と対峙し、女三の宮の密通を知る。

一大事ばかりで疲弊していた彼は、柄にもなく痛烈な皮肉を柏木に浴びせかける。

紫上

六条御息所の物の怪に憑かれ、危篤に陥る。

周囲の必死の看病や祈祷、それから自らの精神力でなんとか息を吹き返す。

朱雀院

50歳の御賀が何度となく延期になる。

娘が柏木に襲われたことは知らない。

六条御息所

光源氏の中傷を聞いて恨みを持ち、紫上に物の怪として取り憑く。

死してなお光源氏と会話したのは、桐壺院を除いて彼女だけ。

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