小説一冊の文字数は、「1ページの文字数×ページ数」で調べることができます。
とはいえ出版社ごとに文字数は違いますよね。
なのでここでは、出版社別に1ページあたりの文字数を調べてみました。
結論からいうと、各出版社ごとの文字数は以下のようになります。
1ページあたりの文字数
- 新潮文庫:608~663文字
- 角川文庫:646~720文字
- 文春文庫:555~742文字
- 講談社文庫:576~738文字
平均すると650文字くらい。
なので、たとえば100ページの本なら「6万5000文字」という計算になりますね。
ちなみに単行本は文字組の自由度が高いので、文字数には本ごとに大きな差が出ます。
そのため今回の調査では、各出版社の「文庫本のみ」を対象にしました。
以下は出版社別の文字数データです。
小説一冊の文字数:出版社別
・新潮文庫
多くの新潮文庫が、
16行(横)×38字(縦)=608文字
というレイアウトでした。
これは他社にはない統一感で、新潮文庫ならだいたい同じ文字数だと考えておけばよいでしょう。
長編小説になると「17行×39字=663文字」という小説もみられます。
▼参考にした書籍。
『ひとにぎりの未来』星新一 | |
昭和55年 | 16行×38字=608文字 |
『友情』武者小路実篤 | |
平成15年 | 16行×38字=608文字 |
『海辺のカフカ』村上春樹 | |
平成17年 | 16行×38字=608文字 |
『向日葵の咲かない夏』道尾秀介 | |
平成20年 | 17行×39字=663文字 |
『蜘蛛の糸・杜子春』芥川龍之介 | |
平成22年 | 16行×38字=608文字 |
『窓の魚』西加奈子 | |
平成23年 | 16行×38字=608文字 |
『メタモルフォシス』羽田圭介 | |
平成27年 | 16行×38字=608文字 |
『豆の上で眠る』湊かなえ | |
平成29年 | 16行×38字=608文字 |
『宰相A』田中慎也 | |
平成29年 | 16行×38字=608文字 |
『この世の春』宮部みゆき | |
令和元年 | 16行×38字=608文字 |
・角川文庫
角川文庫は、
17行~18行(横)× 38字~40字(縦)=646~720文字
というレイアウトがみられました。
全体的に文字数は多めですね。
▼参考にした書籍。
『こころ』夏目漱石 | |
平成16年 | 17行×40字=680文字 |
『この闇と光』服部まゆみ | |
平成26年 | 17行×38字=646文字 |
『空想オルガン』初野晴 | |
平成27年 | 17行×40字=680文字 |
『聖家族のランチ』林真理子 | |
平成29年 | 18行×40字=720文字 |
『 鹿の王』上橋菜穂子 | |
平成29年 | 17行×38字=646文字 |
『ラプラスの魔女』東野圭吾 | |
平成30年 | 18行×39字=702文字 |
『うちの執事が言うことには』高里椎奈 | |
平成31年 | 17行×38字=646文字 |
『犯罪小説集』吉田修一 | |
令和元年 | 18行×39字=702文字 |
『凶犬の眼』柚月裕子 | |
令和2年 | 17行×39字=663文字 |
・文春文庫
文春文庫のレイアウトは、
15~19行(横)× 37~39字(縦)=555~742文字
でした。
作品によって、文字量が大きく変わってくることが分かります。
▼参考にした書籍。
『秘密』東野圭吾 | |
2001年 | 18行×39字=702文字 |
『きれぎれ』町田康 | |
2004年 | 15行×37字=555文字 |
『カラフル』森絵都 | |
2007年 | 15行×39字=585文字 |
『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん | |
2009年 | 18行×39字=702文字 |
『カイシャデイズ』山本幸久 | |
2011年 | 19行×39字=741文字 |
『横道世之介』吉田修一 | |
2012年 | 18行×39字=702文字 |
『こいわすれ』畠中恵 | |
2014年 | 17行×39字=663文字 |
『羊と鋼の森』宮下奈都 | |
2018年 | 17行×39字=663文字 |
『コンビニ人間』村田紗耶香 | |
2018年 | 16行×37字=592文字 |
『サロメ』原田マハ | |
2020年 | 18行×39字=702文字 |
・講談社文庫
講談社文庫では、
16~18行(横)×36~41字(縦)=576~738文字
というレイアウトが見られました。
近年になるにつれて、文字数は減っている傾向にあるような気もします。
▼参考にした書籍。
『封印再度』森博嗣 | |
2000年 | 18行×41字=738文字 |
『マークスの山』高村薫 | |
2003年 | 17行×41字=697文字 |
『赤い指』東野圭吾 | |
2009年 | 17行×38字=646文字 |
『言い寄る』田辺聖子 | |
2010年 | 16行×36字=576文字 |
『待ってる』あさのあつこ | |
2012年 | 16行×37字=592文字 |
『探偵の探偵』松岡圭佑 | |
2014年 | 16行×37字=592文字 |
『海の見える街』畑野智美 | |
2015年 | 16行×38字=608文字 |
『罪の声』塩田武士 | |
2019年 | 17行×38字=646文字 |
『地検のS』伊兼源太郎 | |
2020年 | 16行×38字=608文字 |
『鷹の砦』麻見和史 | |
2020年 | 17行×38字=608文字 |
もう一度小説の文字数をまとめておくと、
- 新潮文庫:608~663文字 × ページ数
- 角川文庫:646~720文字 × ページ数
- 文春文庫:555~742文字 × ページ数
- 講談社文庫:576~738文字 × ページ数
となります。
最小が555文字で、最大が742文字ですね。平均すると650文字くらいです。
この数値をもとにすれば、小説の文字数はだいたい分かります。
短編小説:50~100P=約3万2000~6万5000文字
中編小説:200P=約13万文字
長編小説:300~600P=約20万~40万文字
自分が読もうと思っている小説が何ページくらいかを考えると良いでしょう。
このデータの注意事項
ちなみにですが、ここで調べた文字数は、1ページにびっしり文字が詰まっていた場合で考えています。
実際は章の区切りの余白があったり、段落変えなどもあるので、文字数は少なくなるでしょう。
また、膨大な書籍の中から10冊程度をピックアップして調べただけなので、統計的には精度が弱いです。あくまでも参考程度に留めて置いて下さい。
ここに挙げていない出版社の文字数については、今後追加していく予定です。(2020年9月末には調査終了予定)
以上、小説一冊の文字数まとめでした